Time to Hunt.


 最近、私は四六時中ゲームばかりやっている中毒患者のように思われているらしい。
 こういった風聞や憶測に因った誤解には、断固として異議を申し立てたい。私はべつに当たると幸い無差別にゲームをやっているわけではなく、ただモンスターハンターポータブル2nd Gをやっているだけである。それも、そこらのジャリ共のようにマクドでたむろし、駅のベンチを占拠してまでなんて浅ましいマネはしない。仕事が終わったら脇目もふらずに自宅に帰り、あとは寝るまでの時間一心不乱に狩りを楽しむだけだ。慎ましいもんである。
 それはたしかに、週末の休日、朝起きて布団のなかで一服つけるかたわら、おもむろにPSPに腕を伸ばし、そのまま気づいたら夜だったなんてこともある。ままある。現に今年のゴールデンウィークはほぼそんな感じで過ごした。32歳である。彼女はいない。貯金もない。たまに哀しくなることもある。目覚めると枕が涙で濡れていることもある。
 でも大丈夫だ。そんなものにへこたれるほど、私は弱くはない。ティガレックスだって倒せるし、老山龍も撃退できる。
 集会所のクエストはみんなでやればきっと楽なんだろうけど、人に頼っていては成長できないと思うんだ。だからいつもひとりで挑戦してる。大変だったけど、やっと上位のクエストを受注できるところまできた。
 けれども、まだまだ先は長い。G級だなんて目にしたこともない荒野も、遙か遠くに控えている。これから先、どこまでひとりで進んでいくことができるのか、不安になることもある。となりに誰かの呼吸を感じていたいときもある。32歳である。彼女はいない。貯金もない。
 だがそれがどうしたというんだ。それこそが狩人の生き様ではないのか。まえを見据えて己の得物を握りしめていれば、それでいいのだ。目のまえに獲物がいるかぎり、後悔している暇などないのだ。
 32歳である。彼女はいない。貯金もない。しかし目的がある。