刑務所のリタ・ヘイワース


 朝からなんだか気分がささくれ立ってしょうがない一日である。
 早朝から玄関の戸で爪を研ぐ野良猫、通勤電車のなかで他人様の後頭部に文庫本をぶつけまくるサラリーマン、赤信号無視でつっこんできたくせになぜかこっちに向かってキレる爺さま、配達途中だというのにどこへ行くのかと詰問してくる警備員。みんなおとーさんおかーさんに産んでもらうところからやりなおせばいいのに。
 イライラとした気分を持てあましていると、むしょうに動物園に行きたくなる。もさもさむにむにした動物とふれあいたいのだ。カピバラのもっさりした動きが見たいのだ。アルパカのバカづらを眺めたいのだ。ハシビロコウの静止芸を堪能したいのである。フラミンゴは本当は白い体をしているのだ。あれは餌に含まれる色素が体をピンク色に染めているのであって、動物園のフラミンゴにはわざわざ餌に赤い色素を混ぜているんである。
 さすがに仕事中に動物園に突入するわけにはいかないので、自宅に帰ってからYoutubeでひたすら動物の動画を観て心を癒す。ちなみに、最近のお気に入りは仰向けに寝る子猫。
 ふとアマゾンのサイトをのぞくと、『ショーシャンクの空に』のBlu-Ray版が安く売っていたので、逆上気味にクリックして購入。
 海が青ければいい。希望を持とう。