トロステ終わったら日々の喜びがひとつ減るだろうが!


 PSPを新しく買い換えた。2000から3000に。ローズピンクからスピリティッドグリーンに。
 とくに壊れたということではなく、むしろ控えめに輝くピンク色に愛着すら覚えていたのだが、なんとなく買い換えたくてたまらなくなっちゃったんである。
 まぎれもない衝動買いだが、胸の奥底から湧きあがってくる偉大なる内的知性の声を否定してはいけないとニーチェが言っていた。フロイトは深層意識こそ人間の本質的人間性であり、その心理的欲求を拒否することはその人にとって消え去りがたいトラウマを残すことになると述べている。そして私は欲しいものは欲しいんである。衝動買いをしたことのない人間とはお友達になりたくないのだ。
 そんなわけで、濃緑に照り映えるなんとも渋いPSPである。新緑萌え盛るなんてなまやさしい緑ではなく、まさしく密林のごとき猛々しい緑だ。置いておくだけで部屋中にマイナスイオンが充満しそうだ。とても健康に良さそうなんである。
 持ってみると、その軽さに驚く。PSP-1000と2000の重量の差にも驚いたが、さらに3000は軽くなっている。ちょうどダンベルで上腕二頭筋の筋トレをした直後だったので、まるで羽毛のような軽さに感じられ、思わず吹き飛んでいかないように押さえてしまったが、冷静に考えてみるとそんなわけはない。
 気を取り直したところでじっくりと外見を眺め、握ったときの手触りを確認し、頬ずりし、全身すみずみを撫でまわして感触を堪能したあと、アダプタを接続してバッテリーを充電しがてら、モンスターハンターを起動させる。どんなにすごい機械であろうと、PSPである以上、モンハン専用機であることにちがいはない。
 PSP-2000から3000への最大の変更点は液晶画面とのことだが、タイトル画面をひと目見ただけで、たしかなちがいがわかる。さすがはソニーというべきか、どぎついまでに原色を強調したアニメ仕様である。秋葉を徘徊しているアニオタ外人さんたちがこぞってPSP-3000を購入しているのも、わかる気がする。たしかにポータブルアニメプレイヤーとしてはこれは最良だと思う。発売当初話題になっていたインターレース問題も、さほど気にならず。もっとも、2000に比べて液晶の応答速度も上がっているらしいので、画面のブレがインターレースに置きかわっただけなのかもしれない。
 せっかくなので、ひきつづきモンハンをプレイしてみる。PSP本体色が神秘的な緑ということで、翠緑色に彩られたガノトトス亜種が出てくる「翠色の津波」。ただでさえ攻撃範囲がバカでかくてなかなか近づけず、やっと斬りつける隙を見つけて寄っていけば体当たりでものすごいダメージを受けるガノトトスは、下位の時から一番苦手としていたのだが、上位のクエストではさらにそれを二体同時に相手にしなければならない。先日やっとクリアしたのだが、いい機会なのでもう一度トライしてみる。
 苦闘50分。制限時間ぎりぎりになってやっとクリアする。喜びを通り越してヘトヘトになる。あとはセーブするだけだし、片づける準備をしておこうとアダプタを抜いたとたん、画面が真っ暗になって電源が落ちた。愕然として再度電源を入れようにも反応せず。アダプタをつけ直してみるとやっと電源が入ったものの、当然いま達成したクエストのクリアデータはセーブされておらず。
 なぜバッテリーが充電されておらんのだ。おれの50分を返せ! と逆上したとたんに気がついた。そもそもバッテリーを挿し忘れていた。どうりで本体が軽いはずである。装着してみると重さは同じであった。すべては水泡に帰した。やっぱりガノトトスは怖ろしい。
 ちなみに、先代のPSPは友人に進呈した。ピンク色のPSPで遊んでいる人間を目にしたら、バッテリーがちゃんと入っているかどうか気にかけてあげて欲しい。