道、ここにあり。

何年かに一度、必ず読み返す本というのがあるんである。
去年は『ほらふき男爵の冒険』ビュルガー編(岩波文庫)だったし、一昨年は『ロビンソン・クルーソー(上)』デフォー(岩波文庫)だった。
どちらも幼少時から長いお付き合いをしてきた本なんである。前者ははじめて買ってもらった絵本から幾度も代替わりを経ての伴侶だし、後者ははじめて自分で買った本として、やっぱり幾度もの代替わりを経て私の人生とともにあるんである。
んでもって今年の出番はこれだ、『まんが道藤子不二雄(中公コミックス 藤子不二雄ランド)。
足塚茂道こと藤子不二雄の若き青春の日々を綴った自伝的コミックにして、全国のマンガ少年たちのバイブル、そして絵心なき子供たちを絶望のどん底にたたき込んだ罪な作品である。ちなみに、私はこれのおかげでいまだに路頭に迷っている。だれか、ぼくの人生に光を。道を指し示してください。
なにはともあれ、全23巻+「春雷編」全2巻、トータル全25冊を読了。つきあいはじめて早二十余年、読み返した回数は数知れず、物語のすべてが脳裏に刻まれているというのに、ときおり炸裂的に読みたくなる。結局、初心に返るということなんだろう。
ああ、またちゃんとした大人への道が遠くなった。

愛…しりそめし頃に…―満賀道雄の青春 (1) (Big comics special)

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