読書

あの人は言った……かもしれない。

Q.男のなかの男になりたいのですが、どうすればいいでしょうか? A.ソープへ行け! 男らしくなりたいだなんてのは、女を恐れている奴が持つ考えだ。この童貞のウジ虫野郎め! 10人も抱けば女なんて怖くなくなる。100人抱いたら男としてはなかなかたいしたも…

「SFの確かな野党国書刊行会」

今月のはじめより書店に並んでいる『SF本の雑誌』(本の雑誌社)を読む。 なんともストレートなタイトルだと思ったら、「別冊本の雑誌」シリーズであった。『新恋愛小説読本』以来? 本誌からの転載も多めだし、個人的には『本の雑誌SF読本』なんて角張った…

違和感なし。

いきなりだが引用からはじめたい。 「特車二課というのが来るらしい」 「特車……? 何だそれは」 「警備部の特科車両隊みたいなもんだろう」 「だが、二課というからには、課なんだろう? 特科車両隊は、課じゃない。あれは機動隊だ」 「特科車両隊と区別する…

『まいにちいっしょ』はまちがいなく答えの一端を示していると思うんです。

先日、いつものようにネットサーフィンに興じていたら、とあるサイトが書いたビジネス書の紹介にいきあたった。実用系のビジネス解説書だなんてものにまったく興味はないので、ふだんならば即座にCtrl+Wでページを閉じるところなのだけれど、ふと視線を落と…

君 君足らずして 臣 臣足らず

本来、私は雑誌掲載の小説を読まない主義なのですが、こればっかりは無視できんというわけで、読みました。小野不由美の十二国記短編「丕緒の鳥」。六年半ぶりの新作発表と話題になっていますが、はじめてこれを聞いたとき、いくらなんでもそんなにはたって…

カバーはずしたとこに描いてあるのって、『11人いる!』だよね。

とりあげるにはいささか時期をはずしてしまったが、やはり長いことファンを続けてきた身として紹介しておきたい。 二宮ひかるが帰ってきた。前作、『犬姫様』(講談社アフタヌーンKC)から数えて、じつに丸三年ぶりの単行本出版である。正確にいえば、このあ…

ダメな男の砂糖菓子です。

あと一週間もすると書店店頭にならぶ角川文庫の新刊だが、個人的に目を引いたのが藤原伊織の『テロリストのパラソル』。1995年の第41回乱歩賞を受賞した作品で、これまで講談社文庫に収録されていたが、新しく角川文庫でもでることになったらしい。 私は講談…

七不思議とはいったものの、ほかの六つは思いつかない。

先日のことだ。朝の通勤電車内ではどんなに混雑していようと読書にいそしむのが私の習慣なのだが、ふと目を上げると、まえに立っていた妙齢の女性が志水辰夫の『行きずりの街』(新潮文庫)を熱心に読んでいた。ちらりとお顔を拝見してみると、なかなかの美…

全盛の君あればこそこの廓は花も吉原月も吉原

読書の快楽をおぼえて早二十年、市井巷間の乱読活字中毒者としてちっとはツラを誇ってもいいんじゃねえかとうそぶいているぼくですが、山田風太郎ほど女性を描くことに長けた作家を知りません。その奔放にして大胆な想像力、確個とした歴史観のうえに構築さ…

68冊でした。

年の瀬気分にどっぷりとひたっております。外はいいお天気です。明日の元旦もこんな陽気だと、晴れがましく一年のはじまりを祝うことができるのですが、いかがでしょうか。 さて、例によって今年一年を振り返ってみようと思ったのですが、例年のごとしでたい…

どこでもいける どこまででもいける

先日、友人のtakamasa11が誕生日を迎えました。おめでとう。けれど、ひとつだけ胸が痛いことがあります。歳をカミングアウトしないでくれ。きさまが三十路だということは、中学からの同級生であるおれやたけしも30だということがバレてしまうではないか! た…

心せわしきこの世のなか、傾いてごらんにいれましょう。(其の終)

さて、これまで四回にわたってろくでもない文章を書き散らかしてきましたが、ご安心ください今回が最後です。 そもそも、何回にもわたって前田慶次郎関係の小説を紹介しているのは、ひとつの話題でなるべく尺を延ばそうという浅ましい考えが第一なんですけれ…

心せわしきこの世のなか、傾いてごらんにいれましょう。(其の四)

前回、海音寺潮五郎による前田慶次郎は品が良すぎて豪快さに欠けると書きましたが、それならこちらはどうでしょう。南條範夫『傍若無人剣』(春陽文庫)。そう、あの『シグルイ』の原作である『駿河城御前試合』の作者です。名高い残酷時代劇の大家が描く前…

心せわしきこの世のなか、傾いてごらんにいれましょう。(其の三)

つまらない束縛やくだらないしがらみから放たれ、流れる風のように自由気ままに生きたいと夢見る身の程知らずな男どもから憧憬と崇拝を集める前田慶次郎利益ですが、そんな彼を主人公とした物語は、なにも『花の慶次』だけではありません。そもそも隆慶一郎…

心せわしきこの世のなか、傾いてごらんにいれましょう。(其の二)

さて前回に引き続き『戦国BASARA』の話題から入りますが、いまのところの関心事はなんといっても発売まで半月あまりとなった続編であります。武将人数約30、ステージ数は約50と大幅ボリュームアップ。公式サイトをのぞいてみると、使用できるキャラクターに…

心せわしきこの世のなか、傾いてごらんにいれましょう。(其の一)

もういつのことだったかも忘れてしまったが、あのときプレイステーション2を購入した目的は当時発売されたばかりの『ワンダと巨像』というゲームを遊びたかったからだったんである。『ico』をこよなく愛する私としては、これをプレイせねば『MOTHER3』も東方…

共通の話題。

先日のことだ。朝の通勤電車内ではどんなに混雑していようと読書にいそしむのが私の習慣なのだが、ふと目を上げると、まえに立つおばちゃんが同じ本のまったく同じページを読んでいた。ハーヴァード大学で象徴学を教える教授とナイトの称号を持つエロおやじ…

ふしぎなポッケがかなえてくれる。

http://f38.aaa.livedoor.jp/~cybersp/legend.html この歳になってドラえもんに泣かされるとは思わなかった。

秋葉で骨董品。

勘が鈍るだなんていうように、かねて得意であったことでも、長いことなおざりにしているといまひとつうまく運ばないということがある。ちょうどいまがそんな調子で、そろそろ日記の更新でもせにゃならんと思い立ち、またぞろ駄文を書き散らかそうと思ったの…

帰ってきたアイツ。

それを見たとき、思わず棚のまえでウソ!とつぶやいてしまった。菊地秀行『新・魔界行 魔群再生編』(ノン・ノベル)である。20年ぶりの続編刊行らしい。前作『魔界行』の初版が昭和60年で、西暦になおすとえーと1985年だから、たしかに20年たってる。もっと…

青春の血飛沫。

古本者は復刊という言葉にめっぽう弱い。他ならぬ私が弱いのだから、世のすべての古本者が同じとみてまちがいあるまい。 しかし、よくよく考えるとこれには語義的な矛盾がある。古本者とはその名の通り刊行から幾星霜を経てもはや書店でも滅多に見られなくな…

この人を見よ。

「小説を読むことの醍醐味、そして喜びが、ここにはぎっしりとつまっている。」 読み終えたあと、帯に書かれた北上次郎のこの推薦文を見ると、ひどく打ちのめされた気分になる。ここ数年来鬱屈として怠惰に暮らしてきた己の姿を、断固、否と言い切らせるなに…

道、ここにあり。

何年かに一度、必ず読み返す本というのがあるんである。 去年は『ほらふき男爵の冒険』ビュルガー編(岩波文庫)だったし、一昨年は『ロビンソン・クルーソー(上)』デフォー(岩波文庫)だった。 どちらも幼少時から長いお付き合いをしてきた本なんである…