先日、以前同じ職場に勤めていた友人から突然電話がきました。久しぶり、元気してるなどあたりさわりのないあいさつをとおりいっぺんかましたのちに、なんか用なの?と話を向けると、パソコンほしいんでなんかよさげなやつを見繕ってよとの依頼。
仰天です。まさかいまこの時期に新しくパソコン買いたいと言いだす奴がいるとは。少なくとも、私の周囲のPCユーザーは来年二月までは静観ムードといった雰囲気が漂っているというのに。
ちょっと詳しい人ならすぐにわかると思いますが、あれです。Windows Vistaであります。
マイクロソフトが五年ぶりに市場に投入するこの新OSですが、正式な一般発売が目前となったいまになっても、いまひとつその全貌がはっきりしません。いや、知ってる人はとっくに知っていて、お仕事のあいまなんかに同僚相手にしながら、いやぁうちのVistaがさあ、などとほざいているのかもしれませんが、少なくとも私にはよくわからない。ちょっと前評判を調べてみても、新機能AEROを使うとウインドウの表示が3Dポリゴンになるだの、セキュリティ関連が強化されてるだの、デスクトップに時計などガジェットを配置できるだの、それってほんとに必要なのかってものばかりです。セキュリティに関しては、毎月定例アップデートのパッチ攻勢から解放されるんなら歓迎したいんですが、他のものについて話だけ聞くとうーんと首をかしげてしまいます。デスクトップは極力すっきりさせておきたいんでムダなものは配置してほしくないし、AEROにいたっては、機能をフルに使おうとするとけっこう高性能なパソコンが必要になるとか書いてある。聞けば聞くほどうさんくさいです。OSのような基本ソフトがそんなハイスペックハードを要求してどうするのでしょう。ロースペックPCでも快適に遊べるよう日々苦労している同人ゲーム制作者の気持ちもわかってほしい。
閑話休題。
そんなわけでして、頼まれはしたものの、どうしたものかと考えていたわけでありますが、購入の前日になって驚愕の事実が判明いたしました。たまたま問題の友人から電話がかかってきた際に予算を聞いてみたところ、帰ってきた返答が、四万円。
ありえねえ。あんたプレステ3よりも安くパソコンを買おうとしているのか。さらに質問を重ねていくと、モニタは人からもらった液晶モニタがある。インターネットは見たいんだけど自宅に電話回線はない。引く金もない。オーエス? なにそれ?
そうです。敵はこちらの予想をはるかに上まわっていたのです。否、はるかに下方を飛んでいたといったほうがいいでしょう。
しばし絶句ののち、今後二、三年のあいだまともに使えるパソコンがほしいなら、XP込みで本体総額最低六万はほしい旨を絞りだすように伝えると、なんとかしてくれのひと言。
この時点でさじを投げて電話を切ってもよかったのですが、一番重要な質問を忘れていたことを思い出しました。
── なあ、パソコン買ってなにするつもりなんだ。
── ……KIDが潰れたんだ。もうギャルゲーできないんだ。だからパソコンで……。
── わかった。おれがなんとかする。
週末、秋葉原に行ってきました。探せば見つかるもんですね。XP SP2インストール済みの新品で39800円。ちなみにCPUはceleronD 352、グラフィックはオンボードのRadeon Xpress 200。ちょっと調べてみましたが、まあたしかにふたつから三つくらいまえのモデルのようです。しかしXPは問題なく動くし大丈夫なんじゃないでしょうか。
なあ、やまだ(仮名)。パソコン買えてよかったなあ。こんどゆっくり『To Heart』の話でもしような。